動物園や水族館で飼育している「野生動物」は、見た目は野生動物そのものですが、明らかに違うことがあります。
それは、長年飼育下にいるか、野生下なのかで行動や習性なども変わる部分があるからです。
何年も何代もそこで生活する間に「野生動物」ではなくなってしまう
動物園や水族館で飼育している動物は、今も野生下で生息している動物達です。
そう。「野生動物」です。
見た目はまさしく「野生動物で」、トラはトラ、ゾウはゾウ、アザラシはアザラシです。
ですが、飼育下の動物と、野生動物では明らかに違いが出来てきます。
そのことを理解した施設作りを実施しないと、動物種毎にそれぞれ特異的に備わっている行動や習性が発揮されません。
いわゆる「行動展示」にはならず、展示効果が上がらないので集客にも大きく影響してしまいます。動物舎の中の動物が、生き生きと本来の行動を行っている姿を見ることが出来て、野生動物のすばらしさを目の当たりにすることが、集客に結びつくのです。
ですが、何十年も同じ施設で生活していたり、いつも同じ時間に餌が当たったりすることで、飼育動物の生活リズムが一定になりマンネリ化してしまいます。
それが生まれてからずっとそういった生活が続いていたり、何代もその環境で代わることなく生活し続けることで、見た目は「野生動物」ですが、飼育下の動物になってしまうのです。
「野生動物」の圧倒的な威圧感
例えばスマトラトラ。
この写真を見ても、やはりトラは威圧感最大級で、穏やかな目をしているにも関わらず、孤高の怖さを感じます。
飼育下の個体であってもやはりトラはトラ。
ですが、2019年の秋に行ったインドネシアのサファリパークで、衝撃のトラに出会いました!
このトラは、「人食いトラ」です。
人から餌をもらい続けた飼育下個体ではなく、村人までも襲って食った「野生個体」です。絶対にこっちには来ないとわかっていても、2m以内には近づけませんでした…。
この眼力!!!
圧倒的な威圧感!!!!!!
ジャングルの中で、こんな目で睨まれたら、死ぬしかないですよね。
生息数が著しく減少しているインドネシア・スマトラ島では、野生のスマトラトラが餌を求めて人里近くまで出て来てしまい、結果的には家畜や人を襲ってしまうことが多発しているそうです。
日本で同じようなことが起きたらどうなるでしょうか・・・。
きっとあっという間に動物は射殺。そりゃ~人命優先ですから。
でもインドネシアでは、時にはこういった個体をオリで捕獲し、動物園などの施設へ収容し、繁殖のために飼育します。
上の写真は、インドネシア・ジャワ島のボゴールにある、タマンサファリ・インドネシアのバックヤードで繁殖個体として保護収容したオスのスマトラトラです。
展示はしないが、絶滅危惧種を保存するために、輸送などの経費もすべて同園負担で実施しているそうで、地域の生息域内保全に深く関わっているのです。
こういった野生からの保護個体は、飼育下個体とは明らかに違う運動能力を持ち、生きるために食料を得、そして自身の遺伝子を残すための行動と活動を行います。
その行動はすべて「自主」。
与えられた行動ではない、ということです。
野生個体の圧倒的威圧感。トラの目を凝視するだけでも怖かった!
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