動物園や水族館の飼育員は、動物愛護と動物福祉の違いを明確に理解することが大切

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動物愛護と動物福祉は完全に異なる考えです。動物愛護とは、動物に対して人間がどう思うか。動物福祉は、動物にとって何が良いのか

特に野生動物を飼育している動物園や水族館の飼育員は、この違いを明確に理解しておく必要があるのです。

動物愛護

英語では、「animal rights」とか、「animal protection」という言葉で表されます。

人間が動物に対して持つ感情です。ですから、「可愛い」とか「かわいそう」とかという心情は、動物愛護から起きることです。こういった感情は人それぞれで、一定のものではありません。

国内には「動物愛護法」という法律があり、動物を飼育する上で様々な部分で規制されています。これに反すると懲役または罰金といった処罰が適用されます。

犬や猫を多数飼育していながら、餌や水を十分に給餌しなかったり、清掃をおこたって劣悪な飼育環境のまま、長い間放置したりすると動物愛護法違反に該当します。

現在日本国内では、動物を使用して事業を実施する場合には、この動物愛護法の中の規定に従って許可を申請し、認められなければ営業出来ないことになっています。

動物を飼育する上で、生き物の命に対して尊厳を持って対応すること=愛護精神は絶対に必要です。ですが、個人的感情を動物に向けてもよいのは、人が作り出した命に対してです。

つまり、長い時間をかけて人間が改良した生き物=ペットや家畜に対して、愛護は当てはまると考えられます。ですがやはり人間の都合のいいように、やりたい放題というわけには行かないでしょう。

動物福祉

福祉という言葉が、認識違いを生んでしまいます。人間の福祉と混同するためで、人間が何かをしてあげなければならない、という愛護の感情だと勘違いしてしまいます。

動物福祉は「animal welfare」という言葉で表されます。

動物福祉の考え方には、人間の感情=愛護は一切入れません。あくまで動物にとってどうかを考慮する考え方で、人それぞれの判断にはゆだねることが出来ないものです。

動物種それぞれで習性や生態が異なりますが、それぞれが持つ本来のそれを発揮出来るように飼育管理配慮する必要があります。これが動物福祉の向上につながります。ライオンは飼育舎の中という限られた施設内で、ライオンらしい本来の行動を存分に発揮するためには、どんな施設でどのように給餌し、どんなエンリッチメントを実施して行くのか。

野生下の行動や習性をよく理解して、ライオンらしさを発揮出来るようにいろいろなデータから行動解析してエンリッチメントを実施する。

これらを実施し続けて、本来の行動を発揮できる展示方法が行動展示」です。行動展示は結果的に集客も向上します。目の前で、今まで見たこともない動物本来の行動を見ることが出来れば、お客様は感動しその動物への理解度が高まります

動物福祉を向上するという考えは、家畜の飼育管理から発生したものですが、今では動物園や水族館という、野生動物飼育施設にとって理解していなければならない考え方になっています。

野生動物はペットとは明らかに異なり、人間がその行動に介入できる動物種ではありません。ですから動物園や水族館での飼育管理においても、人間の感情を入れずに本来の習性発揮に対して、飼育員は尽力しなければならないはずです。

きりらび

「かわいい」とか「かわいそう」とか、人間側の想いが強く出てしまいがち。でも人間がどう想うかは動物には関係ない。

動物園や水族館の飼育員は、自分の好みで仕事しちゃまずいってこと!

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