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動物園水族館の飼育動物を、人間の好みで擬人化してはいけない理由

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動物園や水族館で飼育展示している動物はほぼ野生種です。人間の力がまったく及ばない過酷な自然環境で逞しく生き抜いている動物達です。

そんな動物達に対して、人間の好みだけを押し付けて擬人的に表現することはやってはいけない行為です。

ペンギンは餌を獲りに行くために歩く

この、雪の上を歩くアデリーペンギンの写真を見て、人はどう思うでしょう?

よちよちよ可愛い!

いやされるー!

そう思うことはおかしいことではありません。ですが、それはアデリーペンギンのほんの一瞬を切り取ってみた感情です。

上の写真は、南極もしくは南極周辺のアデリーペンギンの生息地。

毎日自分の巣から歩いて海へ狩りに向います。短い脚で、そしてフリッパーを広げてバランスを取りながら歩く姿は、よちよちと可愛らしく見えます。

・・・が、ペンギンがそう思って歩いているわけではありません(笑)

毎日の食料を得るための移動です。

この姿自体がアデリーペンギンのすべてではない。

「可愛い」という人間の感情だけを、動物園水族館で「人間側」が表現したらきっと下の写真のようになるでしょう!

擬人化は動物本来のすばらしさをすべてかき消してしまう行為

「可愛い」だけを切り取って、上の写真のように野生ではありえない「服を着せて歩く」ことを表現した時、お客さんは本当に「可愛い」だけしか思いません。

動物を見てどう思うのかはお客様次第ですが、施設側が偏って表現すると動物本来の姿がすべてかき消されてしまいます。

よちよちよとかわいく歩くペンギン・・・。

ではこの映像を見てください。

この映像は、野生のペンギンが生きて行くために水中で行っている狩りの様子です。

「可愛い」と感じるでしょうか?

水の中を飛んでいます!

すごいスピードで生きるために魚を追っています!

そしてもしかしたらペンギンに追われている魚のように、アシカやシャチに追われるかもしれません!

よちよち歩く可愛らしさよりも、こういった逞しさや種の個性を表現してこそ、動物園や水族館としての役割があるのです!

そして何より展示効果が高く、お客様が集まる施設になるのです!

擬人化は、個性豊かな野生動物の本質を歪めます。

本当の姿をありのままに近い状態でお伝えすることこそ、これからの動物園水族館が強く意識して表現して行かなければならないのです。

お客様は施設がやっていることを見ているだけ。

施設として何をやるかを明確に理解して、表現すべきなのです。

きりらび
きりらび

人間の好みだけを動物に押し付ける「擬人化」は、動物の本質をかき消してしまう行為。

動物種それぞれ違うからこそすばらしい!

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