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単独ゾウ飼育は「動物福祉に反する」と海外メディアから批判された日本の動物園は?

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国内で飼育している単独ゾウは「動物福祉に反する」ため、すぐに集団飼育に変更す
べきだと、海外の学者やメディアから批判を受けました

この問題は何故起こってしまったのでしょうか?

国内動物園のゾウ飼育の実態

1960年代、日本国内の動物園が次々とオープンしましたが、どこの動物園でも必ず飼育していたのが、ゾウ・キリン・カバ・ライオンです。

当時はコンクリートの床で、観客との間には深い溝があり、溝の縁には鉄製の大きなトゲが付いていて、絶対にゾウが逃げ出せない構造になっていました。

水場と砂場があれば相当に良い施設であり、ゾウはいつも暇を持て余して体を左右にゆすったり、鼻で何かを丸めていたり、ストレス性の行動を繰り返していることがよくありました。

そして飼育していた個体はだいたいオス1・メス1。

ゾウは社会性の強い動物

ゾウは社会性のとても強い動物で、成獣メス複数と子供で集団を作ります。仔は成獣メスが協力して世話をし、育てます。

成獣オスは単独か、若いオス集団を作って生活しますが、メス集団と一緒に過ごすことは少なく、繁殖時期の一時のみをメスと過ごします。

こういった種による特性や習性は、導入した数十年前にはどの動物種についてもそれほど考慮せず導入してしまったのですが、今では考えられない思考ですよね。

長年を2頭で生活していましたが、途中でどちらかが亡くなり単独になったゾウが最近になって全国各地で増え始めたのです。

JAZAのゾウ飼育への取り組み

JAZA(日本動物園水族館協会)はこういった単独ゾウを本来の習性に合わせて複数頭で飼育できるように、飼育している動物園に働きかけを行っていますが、長年単独で生活することに慣れてしまった高齢のゾウにとって、一気に複数頭飼育に参加させることや動物園を移動することがそもそも大きなストレスになるため、とてもデリケートに飼育管理を進めることにしています。

やむなく単独飼育を続けなければならない動物園では、ゾウの習性や行動を発揮できるように、いろいろなエンリッチメントを実施して、環境改善を実施しています。

JAZAはこういった取り組みと考えを公表したことで、批判した海外メディアからも一定の理解を得られています。

ゾウは非常に知能が高い動物です。しかも陸上動物で最大。ゾウが持つ本来の行動を発揮できるための施設は非常に頑丈で広く、さらに土や砂、水場や池が必要です。

今後新たにゾウ飼育を実施したいと考えている動物園では、世界的に認められる基準を満たした施設を作る必要があり、そうそう簡単に飼育出来る動物ではなくなっています。

きりらび
きりらび

動物種の習性を把握してそれを発揮できるように飼育配慮するのが飼育員。でも、長年の飼育経過を見過ごすわけには行かない…。

本来の習性を理解することと、飼育個体「個」を理解することの両面が大切だね!

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