水族館の飼育生物の多くは、「芸を仕込まれている」と多くのお客様に思われています。
これはイルカショーをはじめとして、動物園よりも水族館の方がはるかに「動物ショー」が多く、入館者のほとんどがこれを観覧するためだと思います。
実際には、以前あったサーカスの曲芸のように、人為的に人の好みに合わせて「芸」を仕込むということは今は随分減っていますが、そう見られていることを問題視しなければならないでしょう。
動物園ではほとんどない「動物ショー」が水族館ではほぼ実施している
「動物ショー」を実施している動物園はとっても少なくなっています。
もちろん給餌タイムや解説など、飼育員がお客様にいろいろなイベントとして動物達のことを「伝える」企画はたくさん行われています。
ですが、火の輪飛びや玉乗り、自転車乗りなどはもう一切目にすることはありません。
世界中のサーカスでも野生種動物でこういった種目を実施することを止めたり止めようとしたりする国や地域が多くなっています。
きっとそれは、↓ のような考えのことからです。
動物は種それぞれに個性的な特性や習性を持っています。人為的に玉乗りをさせたり火の輪飛びをさせたりすることで観客は喜びますが、本来の行動が発現された方が、「おお~っ!すごいっ!」ってなりますよね。
それは、玉乗りや火の輪飛びと言ったあらかじめ予想出来る動きよりも、動物種本来の行動の方が見ている側にとっては、予想出来ないことだから感動や驚きがあるのです。
水族館の生き物は「芸を仕込まれている」と思われている
ある動物園で行われていた「ペンギンのさんぽ」の直後、60歳代後半のご婦人と飼育員さんとの会話・・・。
ご婦人:「ちょっとお兄さん、聞いてもいいですか?」
飼育員:「なんでしょうか?」
ご婦人:「あのペンギンの可愛い歩き方は、どうやって教えるの?」
飼育員:「? 特に何もしていないですけど・・・」
ご婦人:「そんなはずはないでしょ?翼を広げてあんなに可愛らしくよちよち歩くことは、人が教えなきゃ出来ないでしょ?」
飼育員:「いやいや、ペンギン本来の歩き方で、翼を広げてバランスを取るんです。」
ご婦人:「だって、あんなに可愛いのよ?ペンギンが自分で覚えられるわけがない。随分苦労して教え込むんでしょ?」
飼育員:「いや、だから、ペンギン本来の・・・」
ご婦人:「ちょっとくらい教えてくれてもいいと思うけどね。」
飼育員:「だから・・・。」
ペンギンの歩き方まで、こう思われているのは本当に悲しい・・・。
これは今まで水族館が動物に対して行っていた結果です。
今からでも遅くない。
動物本来の行動を存分に発揮して、「動物それぞれってすごいなぁー」って思ってもらえるものにして行かなければ・・・。
野生動物飼育施設としての役割はとっても大きい!
野生動物はそれぞれに特徴ある行動や習性を身に着けたから生き残れる!
人間本意の表し方では、間違った伝わり方しかならない。飼育員の責任は大きい!
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