絶滅が危惧される生き物は、日本国内でもとても身近なところで起きています。
ということは、日本国内でもどんどん生息環境が悪化しているということです。
例えばクワガタです。
クワガタは全国各地の山林にはどこにでもいた甲虫でした。
子供さんに大人気の甲虫です。
カブトムシと双へきですね。
カブトムシは幼虫時代には腐葉土やたい肥など、とても栄養分が高い土の中で成長します。この幼虫時代の栄養による成長によって、成虫の大きさもまったく変わってきます。
カブトムシは成虫になり交配して産卵を終えると一生を終える、1年間の生存期間の甲虫です
一方のクワガタ。
幼虫は倒木などの少し腐りかけた木の中で大きくなります。
この木が幼虫の餌になるのですが、実はこの倒木が森の中で減っています。
森の中の倒木は、基本的には自然倒木です。
そしてクワガタの幼虫の餌になる木は、マツやスギのような針葉樹ではなく、
クヌギやナラなどの広葉樹です。
クヌギやナラなどの広葉樹は寿命が長く、大きくなって倒れるまでに相当の時間を要しますが、現在の日本の森にはこういった巨木が自然に倒れるような自然なサイクルの森が非常に少なくなっているのです。
多くの森は建材のために針葉樹を植林して管理しています。
そのためにもともと自生していた広葉樹がどんどんなくなり、クワガタの幼虫の餌になる倒木がなくなってきたのです。
栄養が足りないクワガタの幼虫は成虫になっても小さく、このため樹液をめぐる餌場でもその争奪戦に負けてしまいます。
さらに追い打ちをかけたことがあります。
それは外来種の移入許可です。
東南アジア産のヘラクレスオオツノカブトやネプチューンオオツノカブト、
ギラファノコギリクワガタやパリ―オオクワガタなどの輸入販売が1999年の11月に解禁されたのです。
それまでは、こういった大型の外来種甲虫の輸入は、逃げ出して帰化する恐れがあるとのことから禁止されていました。
環境省がこれを解禁したことで、20年たった今、一番恐れていたことが日本の森で起きています。
東南アジア原産のクワガタやカブトムシが日本国内に帰化してしまい、在来種を駆逐していたり、交雑してハイブリッドが発生しているのです。
東南アジア産の甲虫は、日本の冬の寒さには生き残れないと考えられていましたが、原産地では1000m以上の高冷地に生息している種が多く、日本の冬でも越冬出来てしまったのです。
すでに自然環境下ではこういった生存競争が行われ、人の手で、取り返しのつかない状況が起きているのです。
植物の植生が崩れると、それを餌にする昆虫などの生態が崩れます。
昆虫の生態が崩れるとそれを餌にする鳥などの小型生物の生態が崩れます。
この連鎖倒壊が生態系すべてを崩し、元々も在来生態系が消滅するのです。
外来種のために在来種がどんどんいなくなってしまう。
環境省は何故外来のクワガタ輸入を許可することにしたのか?
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