JAZA(日本動物園水族館協会)は動物園や水族館で飼育している野生動物種に対して、種それぞれ健全に飼育し動物福祉を向上させて行くための基準として、「適正施設ガイドライン」を作成し、これを順次公表しています。
JAZAの適正施設ガイドラインで飼育環境は向上する
JAZAとは日本動物園水族館協会のことです。
日本国内の動物園や水族館約160施設が加盟している公益社団法人で、野生種動物の飼育展示を通じて、同じ目的の基に広く国民の皆様へ動物それぞれのすごさや逞しさ、そして彼らが暮らす自然環境に対し、認識を向上するために活動しています。
まずはこのガイドラインを作成した動物飼育のプロ集団の皆様へ、敬服と感謝を申し上げたいと思います。
そもそもこのガイドラインは、飼育動物にとって種それぞれが本来の行動や習性を存分に発揮するためのものですので、動物ファーストの考えが基本です。
例えばホッキョクグマに関して、その陸地の面積やプールの水深や水量など、飼育施設の内容は、施設それぞれでした。
施設にお金を投入出来るところはそれなりに、お金がないところは非常に狭いといった状態で、「ホッキョクグマらしさ」は二の次でした。
「動物を見る」施設から、動物が「活動する」施設へ
しかし動物園や水族館で飼育展示している動物にとって、その環境が良くなり、本来の行動を発揮出来る方が当然良いわけです。
そしてそれを見るお客様にとってもそれぞれの種の独自の行動を間近で観察できることで、「うわー!ホッキョクグマってすごい!」ってなるわけで、こちらにとっても良いですね。「すごい!」って感じたらまた行ってしまいますよね(笑い)!
動物にとっても良いことですし、お客様にとっても効果が高くなる。
ホッキョクグマについては、国内の飼育個体も少なく今後は外国の施設で繁殖した個体の導入を実施しなければなりません。
ですが搬出する国の基準を満たす施設でなければ断られるようになって来ています。
カナダのマニトバ州の基準がホッキョクグマ飼育施設の国際的な基準に相当し、このマニトバ基準を満たしていなければ、カナダからホッキョクグマの導入はほぼ出来ません。
適正施設ガイドラインで動物も快適
動物種によって「これらを備えた施設であれば、最低は整いますよ。」といった内容であり、さらにソフト面であるエンリッチメントについてもこれらに盛り込まれています。
現在は約40種について、「適正施設ガイドライン」は公表されていますが、今後は順次公表されるとのことです。
JAZAは約300種の動物について、その管理と維持を進めることを決めており、基本的にはこれらのガイドラインが公表されるようです。
動物園や水族館で暮らす動物の環境改善が進めば、それを見るお客様の動物に対する見方や考え方も変わるはずで、ひいてはそれが環境保全にも結び付くことになると思っています。
今後もJAZAの活動に期待するところです。
動物園や水族館で暮らす野生種動物の施設適正基準は今までなかった。
種それぞれにあった最低基準が出来たことで、国内の飼育レベルが徐々に上がって行くことを願っています!
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