警察犬、検疫犬、麻薬探知犬、介助犬、盲導犬…。
犬種によってその才能や習性を生かして、いろいろな役割を持って働いているイヌがたくさんいます。
というよりも、長い人間との関りの中で、人間が必要としている役割に合うイヌを徐々に作り出してきたといった方がいいでしょう。
この中で私は盲導犬のパピーウォーカーとして、1頭の命を育てることに関わった経験があります。
生後2か月ほどに育ったラブラドール・レトリーバーの仔犬を、盲導犬協会からあずかり、約1年間に渡り元気で活発なイヌに育てます。
月1回程度実施される盲導犬協会のパピー講習会では、イヌの成長に合わせ次の月までに実施しておく課題が出ます。
もちろん出来ていない時もたくさんあります。
そんな時には、2か月に1回くらい実施して頂く家庭訪問において、協会のパピー担当者さんが、いろいろな指導をしてれます。
ラブは基本的にとっても人が好きです。
小さい時には一緒に遊ぶことが大好きで、ついついやりすぎてこちらの手は噛み跡で傷だらけになってしまいます。
盲導犬協会で先輩犬を見ていると、指導員の方の指示に的確に従い、「ヨシ」と言われるまでいつまでもその場所に座って動きません。
何故そんなことが出来るのだろう。
私が預かったパピーはとってもおてんばで、「マテ」が一向に出来ませんでした。
「マテ」を伝える一番重要な時は、給餌時です。
餌が入った容器を持って行き、「スワレ」と伝えてお座りを促します。
座るまで容器はそのままの位置。
イヌが座ったらその目の前にゆっくりと餌容器を下げて行き、置く。
そこですぐに食べようとしたら、「マテ!」
それでも最初は「?」という顔でこちらを見て、餌にがっつく始末です。
ですが、これが徐々に待てるようになるのです。
こちらも真剣にイヌの目を見て…。
そして「ヨシ!」 すると一気にご飯を平らげる。
「スワレ」の後、少しずつ餌容器を離して置くようにします。
本当は少しずつ餌に近づきたいのですが、絶対に「ヨシ」と言ってくれるとわかってくると、ずっと待ってくれるようになるのです。
家の中での禁止事項は、ソファアに上がらないことと、入ってはいけない部屋には入れないこと。
そして規則正しく、丈夫な体に育てること。
あっという間の1年でしたが、その後は盲導犬候補として協会で厳しい訓練が待っています。
盲導犬協会のパピー担当もすばらしい仕事ですし、候補犬の訓練士さんも大切ですばらしい仕事です。
ラブはほんとに人が大好き。最初はやんちゃで家の中にものを次々破壊します(笑)
でも理解するのがとっても早い!
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